坐骨神経痛とは
坐骨神経痛とは、身体の中で最も太くて長い神経の束である坐骨神経が、圧迫などによって痛みを感じる症状のことです。特に何かの疾患の名前ではありません。症状としては、坐骨神経周りの痛みなどの感覚をコントロールする神経が刺激を受けて、しびれるような麻痺や痛み、電気が走るような痛みが代表的です。
坐骨神経痛の原因
坐骨神経痛を引き起こす原因
①腰部脊柱管狭窄症
②腰椎椎間板ヘルニア
③梨状筋症候群の疾患など
①腰部脊柱管狭窄症
50歳以上の方に多いですが、早ければ30〜40歳代で発症します。年をとることで脊柱管という背骨が狭くなり、腰やおしりなどへ行く神経の根が圧迫されることで痛みがでます。
②腰椎椎間板ヘルニア
10〜40歳代の比較的若い年代に発症しやすいです。椎間板という、背骨の椎体と椎体の間にある組織がつぶれてしまい、押し出されることで腰の骨の神経が圧迫されることで痛みがでます。
③梨状筋症候群
おしりの筋肉のひとつである梨状筋の中を走っている坐骨神経が、スポーツや交通事故などの怪我で圧迫されて痛みがでます。
また、アルコールなどの中毒性疾患や糖尿病、骨盤内のがん、脊椎・脊髄のがんでも、坐骨神経を圧迫し浸潤することで坐骨神経痛を引き起こします。
坐骨神経痛の症状
坐骨神経痛は、一般的に中高年の方に起こりやすく、症状の感じ方や部位は個人差が大きいです。おしりや腰、太もも、ふくらはぎ、すね、膝裏、足先などにしびれるような痛みや刺すような痛みを感じるのが代表的です。
痛みだけでなく、同じような部位に、しめつけ感、灼熱感、冷感などを感じることもあります。また、原因の病気によっては、足の一部だけではなく、足全体に症状が出る場合もあります。
特徴的な痛み方としては、安静にしていても足やおしりの痛みが強くて就寝できない、痛みが強くて身体がかがめない、身体や腰を動かすと足に痛みが走る、足や腰が痛くて動きづらい、だるくて足が動かしづらい、長時間立っていると足が痛み、おしりに違和感がある場合があります。
治療
鎮痛薬や消炎鎮痛作用がある湿布などを使用されることが多いです。坐骨神経痛の原因となっている疾患にもよりますが、すぐに手術とはならず、まずはリハビリなども含めた保存的療法を行うことが多い。姿勢やストレッチなどのアドバイスも行い、必要に応じてコルセットなどの装具や神経に麻酔をするブロック注射などを行いながら、どの程度日常生活に支障が出ているかについて経過をみていきます。保存的療法をいくら行っても痛みなどの症状が取れない場合や、排便や排尿にトラブルが出るようなケースでは手術になることがあります。
東洋医学の視点からの坐骨神経痛
関節や筋肉にしびれや痛み、運動障害などが生じる証を、漢方で痺証(ひしょう)と呼んでいます。体にくまなく分布している経絡が病邪によって塞がれて閉じ、気・血・津液の流れが妨げられると、筋肉や関節に疼痛やしびれが表れます。坐骨神経痛は、痺証の1つです。
痺証は気・血・津液の流れの停滞や気・血・津液が不足して起こる場合もあります。従って漢方では、気・血・津液の流れを調え、病邪を除去し、痺証を治療することにより、坐骨神経痛の治療を進めます。
東洋医学的には下記の原因が考えられます。
①血虚
②瘀血
③痛痺
④着痺
⑤行痺
⑥腎虚
①血虚とは
血の滋養作用が低下している状態です。血の不足により組織が十分に滋養されないと、その部分が正常に機能できず、痛みやしびれが生じます。「不栄則痛」で生じる痛みです。血を補う当帰、地黄などが入っている漢方薬を用います。
②瘀血
血瘀は、血の流れが鬱滞しやすい体質です。血瘀による疼痛は「不通則痛」で生じる痛みです。牡丹皮、紅花、などの生薬を用いる。
③痛痺
強い固定性の痛みがあり、特に冷えた環境などで痛みが悪化する。寒邪の影響です。
肢体の関節疼痛が比較的激しい・痛所が定まっている・痛みは温めると軽減し冷えると悪化する•関節を屈伸できない・局部の皮膚の色は赤くない・触れても熱がないなどの症状が特徴です。
桂枝、麻黄、附子、乾姜などが入った薬方を用いる。
④着痺
重だるい痛みやしびれが、いつも同じ部位(固定性)で生じている。湿邪の影響です。重だるい痛みで痛い所が定まっている・手足沈重で動かしにくい。梅雨などの湿度の高い季節や環境、低気圧の接近などで症状が悪化します。朝起きたときなど動き始めるときに痛むのも特徴です。蒼朮、薏苡仁、羗活、独活などの入った漢方薬を選択します。
⑤行痺
肢体の関節疲痛で遊走不定(痛みが動く) •関節の屈伸不利・悪風発熱を伴う場合もある。風邪の影響です。防風、麻黄、羗活、白芷などが入った漢方薬を選択します。
⑥腎虚
腎とは東洋医学では骨と関係があるため関節痛などとも深い関係があります。加齢とともに出てきやすくなる証ですが、立ち仕事が多かったり、ハードワーク、過労でも起こります。地黄、附子、肉桂などが入っている漢方薬を用います。
まとめ
坐骨神経痛は寒冷で痛みが強くなる傾向が強いため冬の季節は冷えないように気を付けることが大事になります。たとえば、腹巻をしたり服の上からカイロを貼ったりすることも大事ですが、温めるためにお風呂に長時間はいることは避けましょう。発汗しすぎて逆に冷えて痛みが強くなることもあります。
座る時間がながくても神経痛になりやすいので適度に歩く時間も取りましょう。
漢方での治療では、体の根本を見直し、体質部分からじっくり改善していくことができるため、長年悩まれている方や痛みを繰り返している方には適している治療法のひとつと考えられます。
坐骨神経痛で漢方をご希望でしたら、一度漢方専門の薬局でご相談されることをお勧め致します。
夜久漢方薬局・夜久鍼灸院では東洋医学の視点からあなたに合った漢方薬、鍼灸治療を提案し身体の状態を調えお悩みの不調を改善へ導きます。自律神経失調症、婦人病、慢性疼痛、痺れなどでお困りの方は、漢方専門の夜久漢方薬局へご相談ください。
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夜久漢方薬局・夜久鍼灸院 院長 夜久公也