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夜間頻尿と漢方薬について

こんにちは。今回は夜間頻尿について。

夜間頻尿についてのご相談は多く頂きます。巷では「八味地黄丸」が多く宣伝されていますが、漢方薬はその方の体質に合わないと効果がでないばかりか副作用がでることもあります。ですので、むやみやたらに服用はおすすめできません。夜間頻尿に使う漢方薬は他にもたくさんありますので体質をきちんと見極めることが重要になります。
夜間頻尿の予防方法など書いています。また、西洋医学、東洋医学の両方の視点から見ていきましょう。最後までぜひご覧ください。

夜間頻尿とは?

夜間頻尿とは、「夜間排尿のために1回以上起きなければならない訴え」のことと定義されています。就寝後におしっこに行きたくなるという悩みがあり、そのことで日常生活に影響がでている状態を指します。夜間おしっこに何回も行くけど困っていなければ治療対象になりません。

40歳以上の女性で62.1%(2580万人)、男性で71.4%(2640万人)、全体では66.7%もの人に夜間頻尿があるとされ、加齢とともに頻度が高くなります。夜間の排尿回数が増えると、昼間の生活にずいぶん影響がでてきます。夜間頻尿の原因が前立腺肥大症で男性だけの問題と思われがちですが、実際は女性の患者さんも多く男女差はほとんどありません。意外と女性の方の夜間頻尿のご相談も多く頂きます。

夜間頻尿は、夜間の排尿によって慢性的な睡眠不足が起こり、日中の眠気で日常生活に多大な影響がでることがあります。夜間、寝起きでトイレに行く回数が増えることは、転倒によるケガや骨折の原因となります。2010年の日本人を対象にした研究では、夜間2回以上トイレに行く「夜間頻尿」がある人は転倒による骨折の頻度が高いことや、なんと寿命が短くなることが報告されています(Nakagawa et al, J Urol 184:1413-18,2010)。

健全な日常生活を営む上で、十分な睡眠をとることは大事なことなのです。夜間頻尿は、夜間の排尿によって慢性的な睡眠不足が起こります。そのため、日中の眠気で日常生活に多大な影響がでることがあります。元気に日常生活を送るためには、充分な睡眠をとることが不可欠であり、夜間頻尿で辛い思いをしている方はやはり何らかの治療を行うことが必要でしょう。

夜間頻尿の原因

主な原因は大きく3つ挙げられます。
①夜間の尿量が増加する夜間多尿
②一回の尿量が低下する機能的膀胱容量の減少
③睡眠障害
などが挙げられます。いずれも加齢によって増悪します。

①夜間の尿量が増加する夜間多尿
尿とは1日の尿量が多い状態のことをいいます。24時間尿量(1日尿量)が40mL/kg体重以上の場合が多尿です。主な原因は、水分過剰摂取(心因性多飲、症候性多飲)や尿崩症(ホルモン異常等により尿の産生が多くなる)や糖尿病です。
夜間多尿とは夜間の尿量の多い状態をいいます。具体的には1日尿量のうち夜間就寝中の尿量が65歳以上では33%以上、若年者では20%以上となる状態です。若い人の場合は、尿は日中にほとんど作られますが、年をとり心臓や腎臓の働きが低下すると夜間に作られる尿量が多くなってしまいます。そのため夜間の尿量が多く、夜間多尿となります。高齢になると夜間の尿量を減らす抗利尿ホルモンの分泌が低下し、十分に役割を果たさなくなるのが原因のひとつです。さらに水分摂取とも関係します。水分は飲料だけではなく、食物にも多く含まれています。自分で思っている以上に過剰な水分の摂取があり、体にたまっている方もいらっしゃいます。高血圧や心臓病などのお薬が、原因で夜間多尿になる場合もあります。

②機能的膀胱容量の低下
膀胱の容量が通常の量より35%ほど低下した状態をいいます。
・前立腺肥大
膀胱に尿が少量しか溜まっていないのにも関わらず尿意を感じてしまったり、膀胱が勝手に収縮してしまう病気で、トイレに急いで駆け込む症状(尿意切迫感)があるものです。脳卒中、パーキンソン病などの脳や脊髄(せきずい)の病気で引き起こされる場合もあります。
・神経因性膀胱
膀胱の機能は尿をためること、だすことですが、そのどちらの機能にも脳、脊髄をはじめとした神経が複雑に関与しています。いまだにすべての排尿のメカニズムは解明されていません。神経因性膀胱とは正確には排尿に関わる「神経」に原「因」があり「膀胱」の機能に問題があるということです。
原因のわからない排尿障害を一般的に総称して神経因性膀胱ということもあります。
・過活動膀胱
過活動膀胱とは、膀胱が過敏になって、尿が十分にたまっていなくても、ご本人の意思とは関係なく膀胱が収縮する状態です。その結果、急に尿意をもよおしたり、何度もトイレに行きたくなったりということが起きやすくなります。一回に膀胱にたまる量が少なくなると、全体の夜間の尿量が同じでもトイレに行く回数が増えます。

③睡眠障害
夜間頻尿があるため不眠になる場合と、眠りが浅く夜中に目が覚めると尿意をもよおしてトイレに行く場合で、悪循環となります。高齢の方は眠りが浅くなる傾向があり、夜間頻尿と睡眠障害は転倒のリスクが高くなるため、両方の治療が必要です。
また、糖尿病、肥満、うつ、認知症、パーキンソン病などは睡眠障害を生じやすく、夜間頻尿の原因であることが多いようです。夜間頻尿と睡眠障害の原因を探り、両方を治療することが大切です。

夜間頻尿の対策・改善策

①飲水指導
夜間頻尿の主原因が過剰な水分摂取であれば、飲水に関する指導を行います。水分を摂り過ぎないように適切な飲水量と飲水時間を指導します。特に水分をとる時間帯も重要になります。寝る一時間前からは水を飲まないようにしましょう。

②食事指導
塩分摂取量が多い方や緑茶、コーヒーなどのカフェインを多く含む飲み物で多尿になる方も多く適切な摂取量を指導します。また、カリウムの多い果物や野菜なども利尿作用があるため注意が必要です。例えば、キュウリ、トマト、スイカ、みかんなどです。

③行動療法
立ったままの時間が長いと下肢に血液が滞りむくみの原因になります。このむくみは横になると尿として出ていくため夜間頻尿になります。よって、予防して昼寝をして足を頭より高くして寝てもらうと夜間頻尿が減りやすくなります。

④薬物療法
膀胱畜尿障害に対しては、過活動膀胱が原因の場合は過活動膀胱への内服治療(抗コリン剤)や前立腺肥大症が原因の場合は前立腺肥大症への内服治療が効果的です。睡眠障害が原因の場合は睡眠薬による治療を行なう事もあります。尿量を減らすお薬もありますが、生理的ではなく上記の飲水指導、食事指導が優先されます。 

漢方的な改善方法

①腎の力が衰えてきている。腎虚陰虚証。腎とはエネルギッシュに毎日を過ごすために必要なエネルギーで、これは年齢とともに増えていき40歳頃を境にどんどんパワーが落ちていきます。今でいうと老化。腎は、「二陰を主る」といい大小便と関係があります。この腎が衰えてくると尿漏れ、夜間尿などが出てきます。地黄、鹿角膠、亀板膠などが含まれる漢方薬を用います。

②膀胱の湿熱。膀胱炎などがこれに当たりますが、膀胱炎と診断がない場合でも膀胱炎様症状がでる場合も多く見受けられます。頻尿、ムズムズ感、一回行ってもすぐに行きたくなるなどの症状が出やすくなります。柴胡、黄芩、滑石などが含まれる漢方薬を用います。

③気が昇り睡眠が浅い。これは肝虚陰虚証の方が多く「肝」の気が停滞することで起こります。「肝」とは、疏泄作用といい気を巡らすところですが、イライラすることや我慢することが多くなると肝気鬱血となり眠りが浅くなります。柴胡、当帰、釣藤鈎などが含まれる漢方薬を用います。

まとめ

夜間頻尿の原因は多くあります。腎虚でない人に「八味地黄丸」を服用しても意味がありません。しかし、ご相談に来て頂いた方のほとんどは体質に合わない漢方薬を服用しています。漢方薬は、自己判断せず専門家に相談し服用してください。                           

どのような疾患でも症状が出てから早くご相談いただければ、治りやすい傾向があるため早めのご相談お願い致します。

夜久漢方薬局・夜久鍼灸院では東洋医学の視点からあなたに合った漢方薬、鍼灸治療を提案し身体の状態を調えお悩みの不調を改善へ導きます。自律神経失調症、婦人病、慢性疼痛、痺れなどでお困りの方は、漢方専門の夜久漢方薬局へご相談ください。

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夜久漢方薬局・夜久鍼灸院 院長 夜久公也

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