1.「最近、胸がドキッとする」相談が増えています
薬局でお客様とお話をしていると、
「急に胸がドキドキする」
「人混みに入ると息苦しくなる」
「トンネルや狭い場所で動悸がする」
…といったご相談がとても増えています。
病院で検査を受けても「異常なし」。
でも、ご本人はつらい。
こうした動悸や息苦しさの多くは、自律神経の乱れから起こることがあります。
私たち漢方薬局では、西洋医学の「病名」だけでなく、その人の体質、生活背景、心の状態までひとつずつ丁寧に伺いながら、漢方の視点で原因を探していきます。
このブログでは、現代社会で動悸が増えている理由と、東洋医学がどのようにアプローチするのか、漢方薬局の現場での実感を交えてお伝えします。
2.なぜ今“動悸”が増えているのか?
● ストレス・スマホ・情報過多
自律神経は、ストレスや環境の影響を大きく受けます。
現代人は常にスマホを持ち、頭の中が休む暇がありません。
● 睡眠不足
副交感神経が働く夜に、頭が休まらないと心拍が上がりやすくなります。
● 食事の不規則・冷たい飲食
冷えや胃腸の疲れは自律神経の乱れに直結します。
● 運動不足・呼吸の浅さ
座りっぱなしの生活は“気の巡り”を悪くし、胸が詰まった感じが出やすくなります。
こうした背景が重なると、体が常に“緊張モード”になり、ふとした瞬間に動悸が現れるのです。
3.西洋医学での動悸の理解
不整脈・甲状腺疾患・貧血・心疾患などが除外され、異常がなければ「自律神経性の動悸」と診断されることが多いです。
薬としては、
・抗不安薬
・β遮断薬
などが使われることもありますが、体質改善まではカバーできません。
ここから先は、漢方の得意分野です。
4.東洋医学でみる“動悸”の3つのタイプ
漢方では、動悸をひとまとめにせず、
気・血・水 のバランスから原因を探します。
① 気が上にのぼりすぎる「気の上衝タイプ」
ストレスや緊張で、気が一気に胸に上るタイプ。
特徴
- 人混み・密室・トンネルでドキッとする
- 息が浅い
- のぼせ
- ため息が多い
- 胃がつかえやすい
代表処方
・柴胡加竜骨牡蛎湯
・半夏厚朴湯
・加味逍遥散
薬局スタッフの感覚
「特定の場所でだけ動悸が出る方」はほとんどこのタイプ。
“気”が巡り出すと、胸の詰まりがスッと取れていくような印象があります。
② 血が不足して心を支えられない「血虚・心脾両虚タイプ」
疲労が続き、体を支える“血”が足りなくなったタイプ。
特徴
- 動悸と同時に不安感
- 寝つきが悪い、眠りが浅い
- めまい
- 夢をよく見る
- 食欲が不安定
代表処方
・帰脾湯
・加味帰脾湯
・酸棗仁湯
薬局スタッフの感覚
普段は頑張り屋さんの方に多いです。
血を養うことで、心が落ち着き、動悸も自然と軽くなります。
③ 水の滞りが胸を圧迫する「痰飲タイプ」
胃腸機能の低下や水分代謝の乱れで“水”が胸に溜まるタイプ。
特徴
- みぞおちがつかえる
- 痰・咳
- 胸の重苦しさ
- 天気や湿度で悪化
- むくみ
代表処方
・苓桂朮甘湯
薬局スタッフの感覚
気候の影響を受けやすく、雨の日や低気圧で動悸が出る方に多い印象です。
5.なぜ漢方薬局での相談が有効なのか?
動悸は「同じ症状でも原因が全く違う」ことが本当に多いです。
たとえば、
・緊張で胸がドキドキする人
・疲れ切って動悸が出る人
・胃腸の不調から胸が苦しくなる人
これらは全く別のアプローチが必要です。
症状だけ見て漢方を選ぶと、
「全然効かなかった」
という結果につながりやすいのですが、
私たち漢方薬局では、生活背景、ストレス状態、睡眠、食事、舌の状態、脈、体質まで細かく聞き取るため、一人ひとりに合った処方が選べます。
また、数週間ごとに状態を確認しながら量・組み合わせ・煎じ方などを微調整できるのも薬局ならではです。
6.漢方と一緒に取り入れたい“養生”
動悸は、日々の小さな習慣で大きく変わります。
● 深く息を吸うより「長く吐く」こと
副交感神経が働いて心拍が落ち着きます。
● 冷たい飲食を控える
胸のつかえ・胃の不調が改善され、気の巡りが良くなります。
● 湯船に浸かる
「首・鎖骨周りの詰まり」から動悸が出る方に特に効果的。
● スマホを寝る前に見ない
睡眠の質が大幅に改善し、翌日の動悸が軽くなります。
7.漢方薬局での実際の改善例
● 40代女性:トンネルで動悸
通勤でトンネルに入ると急にドキッとし、胸が苦しくなるタイプ。
気の上衝が強く、柴胡加竜骨牡蛎湯+半夏厚朴湯で1ヶ月で軽減。
「息がしやすくなった」とのこと。
● 30代男性:疲労による動悸
寝不足・仕事ストレスで食欲低下。
心脾両虚があり帰脾湯を調整、2週間で睡眠が改善し動悸も減少。
● 50代女性:梅雨〜夏にかけて悪化
むくみ・胸の詰まりが強く、気圧の変化で動悸。
苓桂朮甘湯で水の滞りを取り、季節に合わせて加減しながら安定。
8.さいごに
動悸は、検査で異常が出ないほど“微妙な不調”であるのに、ご本人にとってはとてもつらい症状です。
漢方では、「なぜ動悸が起きているのか」を丁寧に見極めることで、その人本来のリズムを取り戻すお手伝いができます。
もし動悸や息苦しさでお悩みでしたら、一人で抱え込まず、ぜひ気軽にご相談ください。
体質と生活習慣を一緒に整えていくと、心も体もふっと軽くなる瞬間が訪れます。
夜久漢方薬局・夜久鍼灸院では東洋医学の視点からあなたに合った漢方薬、鍼灸治療を提案し身体の状態を調えお悩みの不調を改善へ導きます。自律神経失調症でお困りの方は、漢方専門の夜久漢方薬局へご相談ください。食養生も併せてご提案しています。
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夜久漢方薬局・夜久鍼灸院 院長 夜久公也
