「肩がガチガチでつらい…」
「首の付け根が常に重い…」
こうした症状でご相談いただく方の中には、実は 胃腸の不調が隠れている ことがよくあります。
首や肩は“筋肉”の問題と思われがちですが、東洋医学でも西洋医学でも 胃腸と首肩は密接に連動する 部位です。
今回は、当薬局でよく見られる
「胃腸の弱り → 首肩こり」のメカニズム
を分かりやすくご紹介します。
■ なぜ胃腸が悪いと首肩がこるのか?
① 内臓‐体性反射(Viscero-somatic reflex)
内臓にストレスがかかると、その情報は脊髄を介して自動的に筋肉へ伝わります。
これを 内臓‐体性反射 といい、鍼灸では重要な診察ポイント。
胃腸トラブルがあると、背中〜首〜肩の筋肉が反射的に緊張しやすくなります。
よくあるケース
胃炎 → 左肩〜背中の張り
十二指腸の不調 → みぞおち~肩甲間部のコリ
食べすぎ → 肩上部の重だるさ
胃腸治療で肩こりが改善する理由は、この反射にあります。
② 自律神経の乱れ
胃腸の働きは 迷走神経(副交感神経) が深く関わっています。
胃腸が弱る
↓
迷走神経が不安定になる
↓
交感神経が過剰に働く
↓
首肩の筋肉がギュッと固くなる
当薬局でも、胃腸が弱い方が
「肩が上に引っ張られるように凝る」
と訴えることが非常に多いです。
③ 呼吸が浅くなる
胃が張る・みぞおちが硬くなると 横隔膜 が動きにくくなります。
すると、呼吸が浅くなり
首の“呼吸補助筋”が働きすぎてしまいます。
斜角筋
胸鎖乳突筋
胸の筋肉
こういった筋肉が疲労し、頸部〜肩上部のコリにつながります。
みぞおちが硬い人はほぼ確実に首が硬い
というのは臨床でも頻繁に感じます。
④ 胃腸の冷え・滞り → 血流低下
胃腸の弱りは「気血水」の巡りを悪化させます。
特に首・肩は循環が悪くなりやすく、慢性的なこりを引き起こします。
漢方でいうところの
気滞(気の動きが悪い)
痰飲(余分な水・停滞)
中焦虚(胃腸の力不足)
いずれも肩こりの原因になります。
■ タイプ別 “胃腸が原因の肩こり”
● 食べすぎ・飲みすぎ
→ 肩甲間部〜首上部がガチガチ
(胃の負担が背中に出る)
● 胃酸逆流・胸のつかえ
→ 斜角筋・胸鎖乳突筋が過緊張
(胸・喉の張りが首へ波及)
● 胃の冷え・食欲低下
→ 全身のだるさ+肩こり
(胃腸のエネルギー低下)
● 腸の乱れ(便秘・軟便)
→ 肩甲骨内側の重だるさ
(腸と背中は交感神経で密接に連動)
当薬局での相談でも、このパターンが非常に多いです。
■ 漢方でよく使う処方
胃腸→首肩こりの典型パターンと、それに対応する代表的な漢方です。
● 柴胡桂枝湯タイプ
胃腸の弱り+ストレス+肩背部のこり
(ストレスで胃腸症状が悪化する方に)
● 半夏厚朴湯タイプ
胸・喉のつかえ+頚部の張り
(気が上に詰まるタイプ)
● 六君子湯タイプ
胃弱+疲れやすい+肩こり
(胃の冷え・気虚がある方)
● 補中益気湯タイプ
胃腸虚弱+首肩のだるさ
(慢性的に胃腸が弱い方)
症状の出方・体質によって大きく変わりますので、
首肩こりでも 「胃腸」の状態を丁寧に診ることが非常に重要 です。
■ まとめ
胃腸が弱ると首肩がこるのは「反射・自律神経・呼吸・血流」など複数の要因が連動しているため
首や肩だけ揉んでも改善しない人ほど 胃腸ケアが重要
漢方と鍼灸では「胃腸→首肩」のつながりを踏まえて根本改善を目指す
首肩こりが慢性化している方は、ぜひ一度「胃腸の状態」も確認してみてください。
当薬局では、体質・症状の流れを丁寧に伺い、あなたに合う漢方と養生法をご提案しています。
夜久漢方薬局・夜久鍼灸院では東洋医学の視点からあなたに合った漢方薬、鍼灸治療を提案し身体の状態を調えお悩みの不調を改善へ導きます。首・肩の凝りでお困りの方は、漢方専門の夜久漢方薬局へご相談ください。食養生も併せてご提案しています。
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夜久漢方薬局・夜久鍼灸院 院長 夜久公也