自律神経失調症は病名ではないとご存じでしょうか。
自律神経失調症は、明確な診断基準はなく、ガイドラインにも乗っておらず医学的な病名ではありません。自律神経のバランスが崩れることによって起こっているであろう症状を総じて「自律神経失調症」という名称で呼んでいるのです。
「自律神経」とは?
自律神経には「交感神経」と「副交感神経」の2つがあり、心身の状態によって優位に働きます。交感神経は活動するときに、副交感神経は休息やリラックスをするときに優位に働きます。
主に交感神経は日中に優位・副交感神経は夜間に優位になります。
交感神経は活動時によく働き、興奮・緊張の作用を持ちます。逆に副交感神経は休息時に優位に働き、鎮静・抑制の作用を持つことはよく知られているところですね。
片方どちらかだけが働いているというわけではなく、常に同時に働き続け、必要な時にはどちらかがより強く働く、という認識で良いでしょう。
それぞれが、ホメオスタシス(身体恒常性)といって人間の生理的機能に必要な役割を絶えず担っている、とても重要な組織なのです。
「自律神経」を失調するとは?
さまざまな理由でこの交感神経・副交感神経のバランスが取れなくなってしまうことも珍しくありません。文字通り「失調(=バランスを崩す)」するということですね。バランスが取れないという状態をもう少し具体的に表現すると、適切な場面で適切な神経の働きを調整することができない、という意味です。
自律神経は全身の器官をコントロールしているため、そのバランスが崩れてしまうとさまざまな症状が現れる。疲れやすい、めまい、ふらつき、のぼせ、冷え、頭痛、耳鳴り、動悸、関節の痛み、便秘、下痢、生理不順、口や喉の不快感、頻尿、残尿感、発汗、肩凝りなど症状には個人差が大きい。複数の症状が別々に現れることもあれば、同時に3つ、4つの症状が重なることもある。自律神経のアンバランスに随伴しやすい精神症状としては、イライラや不安、不眠、記憶力や集中力の低下、感情の起伏が激しくなるといったものがある。
自律神経失調症の治療
起こっている症状に対する投薬などを通じて治療を進めることがメインになってくるでしょう。
薬物療法
- 抗うつ薬
- 抗不安薬
- 睡眠導入剤
- その他、症状に対する投薬
自律神経の乱れを起因とした不調は漢方で整えられる
「自律神経失調症」であらわれる精神的な症状は、抗うつ剤や抗不安薬などでも改善はできますが、症状と体徴(身体にあらわれる特徴)を把握することで、身体的な症状と精神的な症状、共に漢方で改善を目指すことができます。
漢方では病名=漢方薬「○○には△△湯」などのように、定められているわけではありません。だからこそ、人によって異なる不調があらわれる「自律神経失調症」の対策として漢方が有効なのです。「自律神経失調症」に利く漢方薬を探すのではなく、今の自分に起きているバランスの乱れを調える漢方薬を選ぶことが大切です。体質、症状からきちんと証を分析できれば体質に合った漢方薬を服用し身体が整い症状が緩和されやすくなります。よって、体質をきちんと見極めることが大切になります。
例えば、「血」の不足(血虚)から起こる不安感や不眠、動悸、倦怠感などは、「血」を補う漢方薬や生活養生で改善を目指します。
「気」の滞り(肝鬱)から起こるイライラやのぼせ、のどのつかえや胃の不快感などは、「気」を巡らせる漢方薬や生活養生で改善を目指します。
夜久漢方薬局・夜久鍼灸院では東洋医学の視点からあなたに合った漢方薬、鍼灸治療を提案し身体の状態を調えお悩みの不調を改善へ導きます。自律神経失調症、婦人病、慢性疼痛、痺れなどでお困りの方は、漢方専門の夜久漢方薬局へご相談ください。
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夜久漢方薬局・夜久鍼灸院 院長 夜久公也